あなたのkugyoを埋葬する

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"M@D AGE"その3

 風呂からあがりました。すごいぜ、これは。買わなかった皆さんはすべからく後悔すべし。


 "M@D AGE VOL.1"の内容は以下。

  • 幸田龍樹『大都会交響楽(1)』
  • 田高利『アトラクション』
  • 田高利「ややもすればあとがき」
  • 田高利『壁に向かって話す男』
  • 田高利『孤高の格闘家、世を妬む』
  • 麹弘人『自室』
  • 幸田龍樹「あとがき」
  • 麹弘人「あとがき」
  • 田高利「編集後記に代えて、「今日の日記」」


 ん、いかん、この書式だとのちのち凝った雑誌を読むときたいへんなことになるのか。次からは目次を写すだけにしよう。

 さて読んだから書評すっぜー。
 『大都会交響楽(1)』は予感どおりの傑作。ペナ山本という名前を手がかりに人探しをする「ぼく」(「キクヒト」)が、「ペナ山本」から外にイメージを進めていく話。外にというのは簡単な意味で私はいま使ったのであって、つまり「ペナ山本」という4文字の列をいじる作業ははじまってすぐに片付けられてしまっているのだ。
 語り技術の面から言えば、話がわからなくなるラインの直前まで流れの説明を省略している点が、くだくだしくなくてよい。一気呵成に読める。物語の中身についてはあまり魅力的ではない、というのは「次号へ続く」となっているけれどもここで終わってじゅうぶんに傑作であるからだ。筋書きにしたらあまりにも少なすぎる物語の中身のおかげで、この小説の文章そのものに注目することができるから、これはこれでいいのだ。
 そういえば、11ページ上段で「目白で山本線に乗り込んだ時には」とあって、ちょっとその先に期待したのだが、どうということもないのでどうやら誤植(たぶん山本線ではなく山手線)だったようだ。いや、誤植だということは、内包された作者すら「ペナ山本のことだけを考え続け」てしまった結果だ、と読めるわけだな。こうなるとやはり続きが楽しみになってきたな。
 引用文献は書かなくてもよかったと思う、危ないから。


 この作品だけでも文学フリマに行ったかいはあったかもしれん。