"人間学"その2
"人間学 第一号"の目次は以下。
- 「告発する文学―序に代えて」
- 「学生生活から一般社会に溶け込んでいく際に求める世間智によせるわずかばかりの箴言」
- 「人造人間論」
- 「喧嘩ということ」
- 「教師の使命とは?」
- 「連載 行動と革命原理(一)」
- 「麗し」
「告発する文学」は論文。文学とは何か、文学をどう創作するのが誠実に生きていると言えるのか、という根本問題について、現象の本質を暴く、告発することだと解答している。
「われわれは案外その根本的問題について考えた事がないのではなかろうか」と書いちゃうと、そういうことについて考えた事がないような「われわれ」向けの文章なのね、というように読まれてしまうから、そこは気をつけたほうがよいかもしれない。
しかし、それを皮切りに、ちょっとむちゃな断定が多すぎて困る。たとえば「文学が生まれるためには、それをつくる人が必要である」「わが国の文学を顧みるに、最初にできた散文の文学といえるものは『古事記』である」とある。これらはつまり、ここではこういうものを文学と呼びますよ、こういう立場で解釈しますよ、という立場表明なんだけど、そうした立場表明が連発されちゃって、どんどん遠くへ行ってしまうんだな。
純粋な「愉しみ」としての文学を書くのはいけないことなのか、という最後の論点については、もうちょっと練りこんだほうがいいが、そうすると別の論文が必要になるだろう*1。
序に代えて、ということなので、もっと短くして、しっかりアジればそれでよかったんじゃないかしら。
*1:本n冊必要になる、なんて大言壮語は、いま私は吐かない