あなたのkugyoを埋葬する

主に読書内容の整理のためのブログです。Amazon.co.jpアソシエイト。

エマージェンシー! デカマスター!

 最近借りた本のリスト。

創発とマルチエージェントシステム (新世紀の工学シリーズ)

創発とマルチエージェントシステム (新世紀の工学シリーズ)

オートポイエーシス―生命システムとはなにか

オートポイエーシス―生命システムとはなにか

生物哲学の基礎

生物哲学の基礎

基礎情報学―生命から社会へ

基礎情報学―生命から社会へ

 『創発とマルチエージェントシステム (新世紀の工学シリーズ)』、理工系の本の文章はどうしてこうむちゃくちゃなのか*1。あれだな、見せかけで超びびってんな。もとい、学生に書かせたな。とまでは言わなくとも、力を持った編集者がいなくて、教授さまの文章に手を入れられない、というのはあるだろう。いちおう、第1章からこんな1文をひいておく。

 Russellによれば、エージェントとして知覚(Percept), 行動(Action), 目的(Goal), 環境(Environment)を4つの要件(PAGE)としている。

 「Russellは、エージェントの要件として知覚、行動、目的、環境の4つを挙げている」ぐらいのことがどうして書けないのか。


 『基礎情報学―生命から社会へ』は第1章を読み終えたところでストップ。分析がふじゅうぶんなことばかり書いてあるな。もっとも重要であるはずの「生命」と「機械」との区別があいまいなのがよくない。「生命」だって物理法則から逃れた予測不可能な動きをすることはできないし(できると思いますか?)、「機械」のようにだれかによってデザインされることはありうる(ごく手短に言えば、デザイナーズ・ベイビー)。
 ただし、この本は構成が悪くて、先に出てきたわけのわからない区分・定義に対してあとで解説を加える、という方式をとっているので、第1章に含まれる問題点ものちの章で解決されているのかもしれない。が、いまこの問題について、そういう構成の本(どこに何が書いてあるかわからない本)につきあってさしあげる暇はないので、今回は第1章まで読んでうっちゃっておきます。
 一般に、“創発”概念を扱う際には、認識論的な創発(だれかにとって、微視的には予測の難しい大局的な現象)のことを言っているのか、それとも存在論的な創発というもっと途方もないことを言っているのか、これを区別することがだいじであろう。たいていは前者のことを後者であるかのように扱っているせいで、神秘的な後光をまとってしまうのではないか。


 “創発”とか“システム”とかいう概念についての哲学的分析が読みたいんだけど、どう探したらいいかなあ。とりあえずSEPを読んでいるけど、この項目の説明は心の哲学に強く偏ってる気がする。Supervenienceについても調べるのがいいのか。
Emergent Properties (Stanford Encyclopedia of Philosophy)

*1:世のなか、理工系でも人文系でもない本の文章にはもっとむちゃくちゃなものがありますけどね。