『記号と再帰』における三元的識別子について
*記号と再帰: 記号論の形式・プログラムの必然*はおもしろい本でしたが,3章3節の議論がみなさんにとってだいじだと思うんだけど論証が薄くありませんか.
骨子はこう:ソシュールの二元論とパースの三元論との対応が,関数型パラダイムにおける識別子(「二元的識別子」)とオブジェクト指向パラダイムにおける識別子(「三元的識別子」)との対応と同型であり,したがってソシュールの二元論とパースの三元論とは同等の記述力を持つ.
この議論に対し確認したいのは6点.
- 論中のソシュール理解は適切か.
- 論中のパース理解は適切か.
- ソシュールの議論と関数型パラダイムとの対応は適切か.
- パースの議論とオブジェクト指向パラダイムとの対応は適切か.
- 同型であることが,ソシュールの二元論とパースの三元論との互換性の証明になるか.
- 議論は全体として成功しているか.
(更新中です……春まで更新しないかもしれません)
1番めについては,1番めは論者がソシュール講義録の訳者であることから見ても信頼してよいと思う.2番めは保留.ただし,パースのモデルがなにのモデルなのかが論中からはけっきょくわからない.記号のモデルであるだけではなく,もっと別のことを含んだモデルであるようだ.