あなたのkugyoを埋葬する

主に読書内容の整理のためのブログです。Amazon.co.jpアソシエイト。

オ13 アリマカナコ(ごはんと女の子),東京行ったことないとこ探訪記(¥400)

第21回文学フリマ感想 Advent Calendar 2015 - Adventar,はじめました.この記事で7日め.
私が第21回文学フリマ東京で買った本のリストはこちらです: 購入全誌感想(23評/23冊) - kugyoを埋葬する

オ13 アリマカナコ(ごはんと女の子),東京行ったことないとこ探訪記(¥400)

アリマカナコ(ごはんと女の子) [第二十一回文学フリマ東京・ノンフィクション|ルポ・ドキュメンタリー] - 文学フリマWebカタログ+エントリー
「東京行ったことないとこ探訪記」アリマカナコ(ごはんと女の子)@第二十一回文学フリマ東京 - 文学フリマWebカタログ+エントリー

 コンセプトカフェ,略してコンカフェ.メインの飲食以外にさまざまな付加価値をつけたところそっちの価値がメインを食ってしまったような,そんなカフェを指す言葉だそうだが,そのコンカフェのマニアが,キャバクラとか寿司屋とかステーキ屋とかに行った食レポ集です(食じゃないのもあります).


 食レポというと,分量が多くて気合いの入ったものはそれだけ制作にコストもかかるため,スポンサがついていることが多くてなかなか冷酷なことは書き表せないものなのだけど,同人本だとそのへんに気安さがあり,「しょっぱい」感想もけっこう入っています.書き手のテンションが載らずにいまいち盛り上がれなかったとか,お店のフロアまわしがあんまりうまくなかっただとか……ただそういう感想を抱いたときでも,書いているうちにそれはそれで楽しくなってくることはあり,それが伝わってくる本でした.各記事で扱われている店舗のメインの出しものの紹介よりも,それ以外のディティールの記述でそう思うことが多かった.こう,行く場所によってぽつぽつなにかを思いつくことがだれしもあると思うんですけど,それってほとんどはたいしたことではないから忘れてしまうわけじゃないですか,そういうのをひとつひとつ拾って,ゆるい構成のなかに雑多に配置して書いてあって,ああなんか他人の考えてることを覗いている感じってこんなだなあ……と思う文章でした.これはなかなかできないことだと思います.もしかしたら現地の写真なんかを見て思い出し書きしてるのかもしれませんけどね.
 あと,読んでいてどうも一抹のさびしさをおぼえる,これはなんでだろう,表紙になっているボヤケた原宿通りの宵の写真のせいかな,と思っていたのですが,どうもこの食レポ集,お店から帰るところをどの記事でも入れてあって,それがなんとなく別れだとか,一期一会の無常さだとかを感じさせるのかも.どんなすてきな夢の空間でも,最後はお会計して,雑居ビルのきたならしいエレヴェータに入って帰らなきゃいけない.それってさびしいことではあるけど,たまに夢のかけらが居残ることもあって,そういうときひとは,たとえば友達を連れて再訪したり,お店のキャストにLINEを送ったり,同人本に感想書いたりするのかもしれません.
 noteでも連載がつづいているそうなので,立ち読みをおすすめします.