不可能性ってのは肯定的性質なのか?
『ジムルターン』simultanは「同時に」という意味らしいな(英語のsimultaneousといっしょ)。同時通訳のことを言っていたんだねえ。
そういうわけで、『ジムルターン (女の創造力)』を読み終えた。表題作がやはりいちばんおもしろい、Amazonにアカウントのあるかたは1ページめを見られるので確かめていただきたいが、各国の言葉が文字どおり入り乱れ(とはいってもヨーロッパ語ばかりなのが限界を感じさせるけど)、通訳たちの会話がカギカッコなしでつづられていく。地の語りも、語りのなかで話されたことも、位置を区別しないあたりが、詩人の小説(表象のしかた)としてすんなり飲みこめた。そのせいで段落の切れ目がなく、読んでいて息苦しいのだけど。でも、世界を言葉で表象するって、息苦しいことだよね。世界にくまなく意識を向けるわけだから。
最近借りた本のリスト。
- 作者: 大澤真幸
- 出版社/メーカー: 春秋社
- 発売日: 1998/06
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- 作者: カール・ヘンペル,長坂源一郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1973
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- 作者: ガルシア=マルケス,鼓直,木村栄一
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『恋愛の不可能性について』、ぱぱっとながめたが、もうちょっとよく考えておいてほしかったな。そこそこ啓蒙的ではある気がするが、もっと分析哲学から離れたちゃらんぽらんなことを言ってほしかった。よく読んで、紹介部分でいいかげんな議論をしていたら起こるのだけど。
『科学的説明の諸問題 (1973年)』には、おれに必要な"Studies in the Logic of Explanation"は収録されていなかった。しかたないね。