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カ47 建築雑誌ねもは,*建築雑誌ねもは 文学フリマ2014年秋号 特集=建築とダイアグラム*(¥500)

第19回文学フリマ感想 Advent Calendar 2014 - Adventar,はじめました.この記事は13日め(時間操作ずみ).
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カ47 建築雑誌ねもは,建築雑誌ねもは 文学フリマ2014年秋号 特集=建築とダイアグラム(¥500)

建築雑誌ねもは [第十九回文学フリマ・評論|建築] - 文学フリマWebカタログ+エントリー

 特集「建築とダイアグラム」ということで,重厚な論考“建築ダイアグラムの概念史”と年表と,それとリンクする連載“建築的思考の係争地(一) レム・コールハース/ヴォイド”とを収録している.
 ダイアグラムというとすぐ思い浮かぶのは列車運行図表だが,斜線が交差してダイアモンド型(菱形)を作るあの図だけがダイアグラムというわけではない.英語表現のうえではむしろ,図像〔icon〕や画像〔picture〕よりさらに一般的に図のことを指す語がdiagramと言われる.しかしながら,思想のなかでは,建築思想にかぎっても,また人文学でもdiagramはいろいろに異なった使われかたをしており,たとえばC. S. パースは,そこに現れる記号の構造が,対象の構造と類似しているような図のことをダイアグラムと呼んだらしい.建築思想においてダイアグラムのなんであるかが重要になるのは,それが実際に「建築プロセスを可視化することで,その有効性を示してきたから」であると著者は述べていて,なかでもp. 14にあるように,建築家が設計・構築するのは建築だけにかぎるまい,というような方向に建築思想が進む際に,ダイアグラム論が役立った,というのはおもしろい.
 たくさんの建築思想家が紹介され,その思想の目指すところと別の思想の目指すところとが対立する,という論争史にもなっていてとてもおもしろいのだけど,それぞれの建築思想の目指すところにある程度説得力がないと,そもそもなんでそんなことで対立しているのかがわからなくなってしまうので,これはもう少し紙幅をとって教えてほしいところ.例えば,p. 40で

 しかし、たとえばアイゼンマン的観点からすると、建築の機械化とは、ようするに建築の生成を情報技術に委ねるという意味で、建築の他律化を意味する危うさを孕むのではないか.

という箇所があるのだけど,そもそもアイゼンマンってどこで出てきたっけ?(p. 26です) そして建築の他律化がなんでアイゼンマンにとって危ういの?(アイゼンマンとしては,建築的形式という概念が歴史よりも上位に存在するから,非建築的システムによって建築を秩序づけるのは問題になる) そしてなんでアイゼンマン的観点から見て危ういかどうかを気にしなきゃいけないの?(これはよくわからなかった,弟子関係とかか?)みたいな議論を読者の側で埋めないと読みづらい.
 どうやら2015年発行予定の *ねもは04* に全文再録されるようなので,楽しみ!