あなたのkugyoを埋葬する

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読みやすい作文のコツ

 これは,文章読解のときはだれでもやっていることだと思うのだが,作文のときにはなかなかやってもらえないことなので,書いておく.*1
 文章つくるときは,同じ単語(あるいは対義語)が出てくる文は同じ話題として関連づけて読まれることを考慮すると,文がガンガン明確になる.文のつながりを明示しようというとき,接続詞を適切に使いましょうというのがまず言われることだが,接続詞をいくら適切に使っても,それは長い文になれば端っこの数文字ぐらいを占めるものでしかなく,文どうしのつながりを理解する助けにはなりづらい.だから,つながりが理解しやすい文章を書くためには,文の端っこではなく文のなかのもの,つまり使う単語を変えるべきだと思う.同じ単語を使っている文は同じ話題を扱っているかのように読まれることを考慮し,使う単語を修正する.
 これを怠って,思いついた単語を並べてるだけだと,この逆のことが起きて,文どうしのつながりが不明確になる.つまり,違う文脈なのに同じ言葉を使いがちになるのだ(熟慮せず思いつく単語の種類というのは,そのひとごとにそうバリエーションがないから).これは読み手を混乱させる.
 この仕組みは発表資料づくりでも同じことで,だいじな話題を何度も繰り返し,同じ単語(キーフレーズってやつ)を使いつづけることで印象づける,というテクニックはよく知られているのだが,その一方で,何度も繰り返し同じ単語を使ってしまうと,同じ話題として関連づけされてしまう,というのは,あまり気を配られていないように感じる.


 これは以前,古文の授業で盗ませてもらった手法で,当時は,同じ意味の単語や同じひとを指す名前を,出てくるごとにマルで囲んで線でつないでいた.古文の場合,その気になって探さないと,たとえまったく同じ単語でも,出てきていることに気付かないものだ.
 そのうち,英語でも似たようなことをやっているのに気づき(itはどの節を受けているなどといった,簡単なやつ),現代文でも同じことだな,と納得した次第.この手法を教わったあとでも,自分じしんの読解のしかたはほとんど変わらなかったが,ひとに試してもらう方法としてはよかった.読解などという抽象的な作業から,同じ単語を探して線でつなぐという具体的な作業を切り出せたので.


 あと,同じ発音の単語を繰り返すと印象づけてしまうので(ダジャレのことだ),無意識にやっていないか気を付けたほうがいい.ひとはダジャレからは逃れられないので,ダジャレを徹底的に知り,戦うべきだと思う.特に,まじめにものを書きたいときには.

*1:正直いうと,文章の読解の手法というのがあるとしたら,これ以外にないのではないかと思う.だって読解の手がかりは,文章に書いてある単語に存する以外ないから.国語の試験を論理的に解くなどと言っておいて,ちょっと長文になると知識や常識を持ち込んでくるアルバイト講師ってけっこういるらしいのだが,論理のことあんまりわかってないよな,と思う.「東大くん」は構文論的手法だけでどこまで押せるか試してほしいものだが,常識データベースを持ち込むのが手っ取り早いだろうというのはそのとおり.