本文は好きにしてね
R. M. Sainsbury, *Fiction and Fictionalism*(2010)は,巻頭に各節の要約がついています.これは学術出版業界すべてに共有されるべき有用な特徴だと思います.索引の次は各節要約がトレンド! 以下,pp. vi-xviを訳出.何か誤解などありましたらご指導願え…
ご質問いただいた件に関連して,最近手元に来たNikki Sullivan, *A Critical Introduction to Queer*(2003)でマッキノンに言及している箇所を訳出しました.A Critical Introduction to Queer Theory作者: Nikki Sullivan出版社/メーカー: New York Univ P…
先日開催されました第5回応用哲学会にて,楽しみにしておりました発表のひとつが,先日資料公開されました.西條玲奈さんの"ロボットを恋人にできるか"というものです. 西條 玲奈 - 資料公開 - researchmap 今回の応用哲学会の論題のなかでも相当に刺激的か…
フェミニズム的形而上学についての紹介論文を紹介しますね.ただし,現代のアングロサクソン形而上学は何をやっているのかについての初歩的な解説も含む(アリストテレスのやってた,「アポリア型」の形而上学ってことになる)ため,内容が若干薄いかな. 話…
「トーキングバリアフリー:あなたのカラダ、借りてもいいですか?」を聴講してきた. http://bfr.jp/topics/ いきなり熊谷晋一郎さんの問題提起が哲学的で興奮する.介助者は被介助者のやりたいことを叶え,やりたくないことを叶えずにおくべきだ,つまり「…
*記号と再帰: 記号論の形式・プログラムの必然*はおもしろい本でしたが,3章3節の議論がみなさんにとってだいじだと思うんだけど論証が薄くありませんか. 骨子はこう:ソシュールの二元論とパースの三元論との対応が,関数型パラダイムにおける識別子(「二…
なんでフェミニズム形而上学じゃないのか? という疑問はあとで解消できると期待して,SEPのFeminist Metaphysics (Stanford Encyclopedia of Philosophy)(Sally Haslanger,2007)の項を訳しはじめました. 冒頭だけ,どんなことが書いてあったのか見てみま…
現代美学研究会で検討している,InterpretationについてのWollheimの論考です. Richard Wollheim, "Criticism as retrieval" From: R. Wollheim, Art and Its Objects, 2nd ed.(Cambridge University Press, 1980), pp. 185-96, 199-204. 批評の回復説 [It …
このひと月ほど,いろいろなところに行って,魅力的な方々とお会いしたり再会したりしていたので,記録する.12月も同様に鍛錬していきたい. 振り返ってみるに,私,魅力的なひとにお会いしすぎではないか? これは偶然や実力などではなく,まず地理的に有…
伊佐敷,時間様相の形而上学(勁草書房, 2010)における,因果的決定論に対する(自然の斉一性を仮定したうえでの)反論がよくわからなかったので,メモします. 以下,引用は前掲書pp.92- より. 伊佐敷の主張する「因果的決定論の中心的主張」は, ・同じ原…
大内東, et al., 生命複雑系からの計算パラダイム, 森北出版, 2003. Grassé, P. P., "La reconstruction du nid et les coorinations iterindviduelles chez Bellicositermes natalensis et Cubitermes sp. La theorie de la stigmergie: Essai d'interpreta…
"創発"emergenceの特徴づけはさまざまである。たとえば、「個々の行動ルールのみでは発現せず、個々の行動ルールの集合行為としてとらえた場合にはじめて現れるような特性」(大内, et al., 2003, p.20)とか、「対応するシステムの構成要素を持たないシステ…
スティグマジーという発想のもとになったのは、生物学者Rabaudが導入した2つの概念、相互作用interactionと相互誘引interattractionとであるらしい(詳しくはTheraulaz & Bonabeau, 1999を参照)。 相互作用とは、集合的行動のためには個体のふるまいが本質的…
アリの群れが、餌場から巣へと餌を持ち帰っている様子を観察すると、アリどもは同じ1本の経路をたどっているように思われる。これを、アリが他のアリの付置したフェロモンを頼りに移動しているからだ、と説明することは、広く膾炙しているといえよう。 しか…
創発とStigmergyとについて記事を書きました。 Ant Colony Optimization(創発とStigmergy) - kugyoを埋葬する Stigmergy(創発とStigmergy) - kugyoを埋葬する 創発?(創発とStigmergy) - kugyoを埋葬する 文献(創発とStigmergy) - kugyoを埋葬する
PhilPapers: Online Research in Philosophyからメールが来て、なんだろうと思って読んでみると、みなさんのあいだにどんな哲学的見解が流布しているかのアンケートのようだ。学識ある方々にはすでに調査をすませており、このたびphilpapersのユーザに一般公…
で、『存在と時間〈上〉 (ちくま学芸文庫)』29節「心境としての現=存在」で議論になったところは、次ね。 まずは『存在と時間』本文から引用。 この点をみただけでも明らかになるように、心境は、ある心的状態を寓目するということからははるかに距たってい…
このレジュメは、Martin Heidegger: Sein und Zeit(1927)への読書会のためのレジュメである。今回の読書会にあたって主に参照している訳書は、 細谷貞雄(訳), マルティン・ハイデッガー(著): 存在と時間 , 筑摩書房(1994). 『存在と時間〈上〉 (ちくま学芸文…
ちょっと前には六本木のギャラリーをひやかしてきたが、今回は京橋のギャラリーをひやかしてきた。 鎌田あや 展 ギャルリー東京ユマニテにて。 http://www.kgs-tokyo.jp/human/2009/0727/0727.htm 姿見につけまつげを大量に貼り付けた作品がおもしろかった。…
何をやっているのかについて at_akada(赤田敦)さん(http://www.at-akada.org/)と論争をしています。非存在のTwitterアカウント「@shoukou5」について、その存在論的身分を問い、「@shoukou5に対する謝罪」とはどういう意味を持つのかを検討する議論です。 シ…
けっきょく今日の『ペドロ・パラモ』読書会には遅刻がたたって行けなかったので、作っておいた69断片のリストを載せておきます。 ページなどは フアン・ルルフォ(著), 杉山晃・増田義郎(訳), ペドロ・パラモ, 岩波書店(1992). の第3刷(2007年9月)に拠ってい…
諏訪哲史『アサッテの人』(講談社)の書評をしたときに、作品批評の存在論について考えた。 『アサッテの人』は「ポンパ」などの「アサッテ語」すらも作為的に感じてしまい使えなくなっていく「叔父」を描いた小説なので、それをまともに受け取れば「ポンパ」…
このまえやった勉強会のレジュメの一部を公開します。リアルとかリアリティとかリアルリアリティとか言ってるひとたちの参考になるといいです。リアリズムって言ってるひとたちの参考にはならんでしょうな、このレベルでは。 (前略) ところで、ここでいう…
(訂正しました 2009/1/29) 可能世界の実在についての虚構主義(様相虚構主義modal fictionalism)の難点を指摘した、Bob Haleの議論(Hale, 1995b)を紹介する。 様相虚構主義は、可能世界論the story of possible worldsが偽であると主張している。Haleの議論…
テストパイロットよりの手紙 明日の秋葉原とゼロアカ以外まとめ。 - 左隣のインターフェース 安倉儀たたたさん、こんにちは。私はほかにも安倉儀たたたさんにコンタクトするすべがあるのを知っていますが(「S.E.」に掲載された主幹メアドとか)、今回は安倉…
Literary Valueをどう訳すか、これはおれがうっかりしていたところで、たぶん「文学の価値」ではなく、「文学的価値」としなくてはならないんだろう。つまり、文学作品には文学的価値とそれ以外の価値(道具的価値とか?)とがあるわけだ。 いや、でも、道具…
こんどから入手した論文の入手先を記録しておくことにしよう。どこのデータベースを調べて入手したのか分かると便利だろうから。 データベースhttp://www.informaworld.com/smpp/home~db=allから、以下の論文を入手。 [Lewis, D. and Lewis, S. 1970] Holes,…
虚構的指示対象がなんらかの意味で実在することを認めないでもやっていけると……うふー……それって、穴の実在を認めないでやっていけるとする立場同様の批判を、与えられうるのではないかな。 つまり、ドラゴンの実在を認めない立場から、 ドラゴンが眠ってい…
2ちゃんねるでもオススメの『穴と境界―存在論的探究 (現代哲学への招待)』読了。各章とも、議論が煮詰まってくる*1手前ぐらいまでは非常に読みやすい。著者の自説の検討に入ると少し読ませる速度が落ちるけど、予備知識が必要で投げ出さざるをえないタイプ…
いつまでも学でないことを書いていても学は出てこないので、少しは世界に資することにしよう。予告どおりね。そう、犯行予告というのは、犯行がなされてはじめて、事後的に犯行予告であったと指定されるのであって、それまでは犯行予告ではないのではないだ…